転職して、1ヶ月が経った頃のことをよく覚えています。
回復期リハビリ病棟に転職した25歳の私は、夜勤明けにコンビニのATMで給与明細を確認して、そのまま駐輪場のベンチに座り込みました。
手取り23万円。
急性期病棟時代は26万円以上あった。
「エージェントに言われるままに決めたから、こうなった」
そう気づいたのは、入職してからでした。
あのとき私が感じていた「辞めたい」は、正解でした。
でも動き方が間違っていたから、また同じ失敗を繰り返しました。
転職したばかりで辞めたいと感じているあなたへ。その感覚が「正しいサイン」なのか「慣れていないだけ」なのかを、私の3回の失敗から一緒に確認しましょう。
私が転職直後に「辞めたい」と感じた3回の話
5回の転職のうち、最初の3回は全部「入職後3ヶ月以内に辞めたくなった」経験です。
それぞれ原因も結末も違います。
1回目(回復期リハビリ病棟・25歳)——「慣れ」と「構造的な問題」が混在していたケース
入職2週間目。ベテランナースの輪に入れず、業務中に話しかけても返事が素っ気ない。
「急性期出身は考えすぎる」と言われた日、帰り道で泣きました。
でも今振り返ると、人間関係の問題は「慣れ」で半分は解消できた可能性があります。
問題は給与でした。
夜勤手当が減った分を誰も教えてくれなかった。確認しなかった私も悪い。
でも「入職前に確認すれば防げた問題」が原因の「辞めたい」は、慣れでは解決しません。
結果:1年で退職。
2回目(内科クリニック・26歳)——これは完全に「辞めるべきケース」だった
入職1ヶ月目。初めての給与明細。
手取り18万円。
コンビニのトイレで明細を見て、5分間動けませんでした。
大阪で一人暮らしをしながら、手取り18万円。家賃と食費を払ったら、ほとんど残らない。
「夜勤がないんだから仕方ない」と自分に言い聞かせて入職したのに、ここまで下がるとは思っていなかった。
さらに院長のワンマン体制。
「看護師は補助スタッフ」という空気が職場全体に漂っていて、意見を言える雰囲気がない。
専門職として働いている感覚がなかった。
これは「慣れれば解決する問題」ではありませんでした。
でも私は「転職したばかりだから」という理由でズルズルと1年半居続けました。
今思えば、3ヶ月目に動き始めればよかった。
結果:1年半で退職。
3回目(訪問看護ステーション・28歳)——「慣れ」で解決しようとしたけど、できなかったケース
入職して最初の週末、土曜の夜11時にスマホが鳴りました。
利用者さんの呼吸が荒いとの連絡。一人で訪問して、医師に連絡して、家族に説明して、帰宅したのは深夜1時。
翌朝9時には次の訪問が入っていました。
「これがオンコールか」と理解した瞬間でした。
入職1ヶ月目は「慣れれば平気になる」と思っていました。
3ヶ月目も「まだ慣れていないだけ」と思っていました。
6ヶ月目に気づきました。これは「慣れる」ではなく「消耗していく」プロセスだった。
「いつ電話が来るかわからない」という緊張感は、1年半経っても消えませんでした。
結果:1年半で退職。
3回の経験からわかった「辞めたい」の2種類
私の失敗を整理すると、「辞めたい」には明確に2種類あります。
・業務を覚えられず自信がない
・スタッフの名前と顔が一致しない
・前の職場と比べてしまう
・新しい環境で孤立感を感じる
これらは入職後3〜4ヶ月で大半が変化します。
転職後3ヶ月は、誰でも一番しんどい時期です。
種類②:時間では解決しない「辞めたい」
・給与が求人票・面接時の説明と大きく違う
・院長・上司からの暴言やハラスメントがある
・オンコール・夜勤など労働条件が聞いていた話と違う
・体調に異変が出ている(眠れない・食べられない・涙が出る)
これらは時間が経っても改善しません。
むしろ早く動くほど、次の転職へのダメージが小さくなります。
私の3回の失敗は、この2種類の見極めができていなかったことが原因でした。
2回目のクリニックは「種類②」なのに、1年半も居続けた。
3回目の訪問看護も「種類②」なのに、「慣れれば解決する」と信じていた。

「辞めるべきか・様子を見るべきか」チェックリスト
今感じている「辞めたい」が、どちらの種類かを確認してください。
□ 給与が求人票・面接時の説明より明らかに低い
□ 夜勤・残業・オンコールが「なし」と聞いていたのに実際はある
□ 上司・先輩から暴言・無視・理不尽な扱いを受けている
□ 眠れない・食欲がない・出勤前に涙が出る日が続いている
□ 「体が壊れる前に逃げなければ」という感覚がある
□ 業務がまだ覚えられず毎日ミスしてしまう
□ スタッフとの関係がまだ浅く、馴染めていない
□ 前の職場と比べて「前の方がよかった」と感じている
□ 忙しくて体力的に消耗している(ただし体調には異変なし)
転職したばかりで再転職することへの不安に答える
「また転職したら履歴書が汚れる」
短期転職が続くと採用担当者の印象に影響するのは事実です。
ただし看護師の有効求人倍率は約2倍(2025年時点)で推移しています。
他の職種と比べて、短期転職のダメージは小さい業界です。
それより大切なのは、「なぜ短期で辞めたか」を面接で誠実に説明できるかどうかです。
「労働条件が明示と大きく異なっていたため」は、採用担当者が理解しやすい正当な理由です。
「辞め癖がつく」という言葉について
「短期転職を繰り返すと辞め癖がつく」という言葉があります。
私はこれを4回繰り返して、やっとわかりました。
辞め癖がつくのは「嫌なことがあるたびに辞める」パターンです。
労働条件の相違・ハラスメント・体調不良で辞めることは、辞め癖ではありません。
自分を守るための正当な判断です。
問題は「なぜ辞めたか」ではなく「次の転職で同じ失敗を繰り返すかどうか」です。
「在職中に動き始めるべき理由」
「辞めてから次を探そう」は最も危険なパターンです。
収入がない状態での転職活動は、焦りが判断力を奪います。
私が4回失敗し続けた根本原因はここにあります。毎回「早く決めたい」という焦りから、確認すべきことを確認せずに決めていた。
今の職場に在籍したまま、転職サービスに登録して情報収集を始めてください。
登録は無料で、転職しないという選択もいつでもできます。
再転職で同じ失敗を繰り返さないための3つのルール
私が4回目の転職でようやく変えられたことです。
- ①今回失敗した原因を一言で言えるまで整理する——「給与の確認不足」「オンコールの頻度を数字で確認しなかった」など、具体的に言語化する。原因が曖昧なまま動くと同じことを繰り返す
- ②複数のサービスに登録して同じ職場の情報を複数確認する——1社のエージェントだけを信じると視野が狭くなる。2〜3社に登録して、気になる求人を複数の担当者に確認させる
- ③内定後も1週間は冷静に考える——「やっと内定が出た」という安堵感で即決するのが最も危険。私の失敗はすべてここが原因でした

まとめ
転職したばかりで辞めたいと感じているなら、まず「どちらの種類か」を見極めてください。
- 給与の相違・ハラスメント・体調不良 → 早めに動き始める
- 慣れていないだけ・なんとなく合わない感 → 3〜4ヶ月様子を見る
- どちらにしても在職中に情報収集を始める → 焦りが次の失敗を招く
私が1年半もクリニックに居続けたのは、「転職したばかりだから」という理由で判断を先延ばしにし続けたからです。
「転職したばかり」という事実は、辞めるかどうかの判断基準にはなりません。問題の種類だけが判断基準です。
— ミナ



