「転職しようと思い始めたのはいつだっけ」
ふとそう考えて、ゾッとしたことがあります。
気づいたら1年近く、同じ場所でぐるぐるしていました。
転職サイトを開いては閉じる。
求人を見ては「でも…」と思う。
有給を取った日に履歴書を書こうとして、結局なにもしないまま終わる。
「怖いから動けない」と思っていました。
でも今振り返ると、あれは怖さじゃなかった。
踏み切れない本当の理由は「怖さ」ではなく、「何が怖いかを言葉にできていなかった」ことでした。
この記事では、私が転職に踏み切れなかった時期のリアルと、そこから抜け出せた理由を正直に書きます。
私が転職に踏み切れなかった1年間
3回目の転職(訪問看護)を辞めた後、私は次の転職先を探しながら1年近く止まっていました。
頭の中はこんな状態でした。
「エージェントに登録したらまた電話が鳴り止まなくなる」
「自分に合う職場なんてあるのか」
「もう看護師を続けること自体が嫌かもしれない」
漠然とした怖さが4つ5つ頭の中に同居していて、何から手をつければいいかわからない。
その状態を「怖くて動けない」と呼んでいましたが、正確には違いました。
「何が怖いのかが曖昧すぎて、解決の糸口が見えなかった」のが本当の理由でした。
転職に踏み切れない状態というのは、複数の「怖さ」がごちゃ混ぜになって、頭の中で渋滞を起こしている状態です。
渋滞を解消するには、一台ずつ取り出して確認するしかありません。
踏み切れない理由は、実はこの5つのどれかに絞られる
私が5回の転職活動で出会った看護師の話や、自分自身の経験を整理すると、踏み切れない理由は大体5つに集約されます。
①「また失敗するのが怖い」——転職経験がある人特有の怖さ
一度でも転職に失敗した経験があると、次の転職が二倍怖くなります。
「あの時も大丈夫だと思って決めたのに」という記憶が、判断力にブレーキをかけます。
これは私が一番長く引きずった怖さです。
でも考えてみてください。
前回の失敗の原因が「確認不足」や「焦り」にあったなら、それを変えれば結果は変わります。
失敗そのものが怖いのではなく、「同じ失敗を繰り返すかもしれない」が怖いはずです。
それは「今回はどう動くか」で解決できます。
②「退職を言い出すのが怖い」——人手不足の職場ほど強くなる怖さ
「迷惑をかける」「引き止められる」「その後の関係が気まずくなる」。
特に人手不足の職場では、この怖さが強くなります。
私は3回目の訪問看護を辞めるとき、所長に言い出せないまま2ヶ月引き延ばしました。
民法第627条により、退職の申し入れから2週間が経過すれば、職場の合意がなくても退職できます。
「辞めさせてもらえない」は法律上あり得ません。
また、就業規則に「1ヶ月前に申し出ること」と定めがある場合でも、それに従う義務は法的には必須ではありません。ただし円満退職を望むなら、就業規則の定める期間を守る方が現実的です。
③「転職活動がうまくいくか不安」——情報がないから怖い
「自分のスキルで採用してもらえるか」「希望の求人があるか」という不安。
これは動いてみないとわかりません。
ただ一つ確かなことがあります。
看護師・准看護師の有効求人倍率は約2倍(2025年時点)で推移しています。
求職者より求人の方が多い状態が続いています。
「採用されないかもしれない」という不安の多くは、動く前に情報を持っていないことから来ています。まず登録して求人を見るだけで、その不安の半分は消えます。
④「転職先が今より悪くなるかもしれない」——現状維持バイアスの罠
「今の職場に問題はある。でも転職して今より悪くなったら」という怖さ。
これは最も厄介な怖さです。
今の不満は「確定した現実」で、転職後のリスクは「想像上の可能性」です。
人間は「確定した現実」より「想像上の可能性」を過大評価しやすい。
「転職しないことのリスク」も同時に考えてみてください。
このまま消耗し続けるコスト。体調を崩すリスク。「いつか転職する」と思いながら年齢を重ねていくリスク。
現状維持にも、リスクは確実にあります。
⑤「何がしたいかわからない」——目的が見えない怖さ
「今の職場を辞めたい気持ちはある。でも次に何をしたいかわからない」。
これは「まず辞めてから考える」必要はありません。
4回目の転職活動を始めたとき、私も「何がしたいかわからない」状態でした。
そのときにやったのは、「やりたいこと」を探すのをやめて「これだけは嫌だ」を3つ書き出すことでした。
・夜勤は月4回以下にしたい
・オンコールのない職場
・手取り22万円以上
この3つだけ決めて求人を見始めたら、方向性が見えてきました。
「やりたいこと」より「絶対に嫌なこと」の方が先に言語化できる——それでいいと思います。
怖さを「渋滞」から「リスト」に変える方法
頭の中でごちゃ混ぜになっている怖さを、一つずつ取り出して書き出してください。
①今、転職に踏み切れない理由を思いつくだけ全部書く
②それぞれに「解決できること・できないこと」を仕分ける
③「解決できること」について「何をすれば解決するか」を一つだけ書く
例:
「また失敗するのが怖い」
→解決できること
→「前回と何が違う動き方をするか」を決めれば解決できる
→複数サービスに登録して情報を比較する・内定後1週間待つ
怖さを言語化した瞬間に、それは「解決すべき問題」に変わります。
漠然としたまま抱えているときだけ、怖さは「壁」のように見えます。
「決意」より「情報収集」が先
踏み切れない人の多くは、「転職を決意してから動く」という順番で考えています。
でも本当の順番は逆です。
動いて情報を集めた結果、転職を決意する——この順番が正しい。
転職サービスに登録することは「転職する決意」ではありません。
今の市場に自分に合う求人があるかどうかを確認するための、最初の一歩です。
登録は無料で、転職しないという選択もいつでもできます。
「登録だけして、求人を見て、やっぱり今の職場でもう少し頑張ろう」という判断もあります。
私が4回目の転職で成功したのは、「決意してから動いた」のではなく「動きながら決意した」からでした。

踏み切れないまま時間が過ぎることのコスト
「まだ踏み切れない」という状態を1ヶ月、半年、1年と続けると何が起きるか。
- 今の職場での消耗が積み上がり続ける
- 「いつか転職する」という先送りが習慣になる
- 良い求人は先に埋まっていく(特に健診センター・美容クリニックは求人が希少)
- 年齢が上がると選択肢が少しずつ狭くなる職場も出てくる
「動かないこと」にはコストがあります。
そのコストは毎日静かに積み上がっているだけで、ある日突然見えてくる種類のものです。
私が3回目の訪問看護を辞めた後、1年近く止まっていたのは、今でも少し後悔しています。
あの1年を、情報収集に使えていれば——と思うことがあります。

まとめ:踏み切れないのは「怖さ」じゃなく「曖昧さ」が原因
- 踏み切れない理由は「怖さ」ではなく「何が怖いかを言葉にできていないこと」
- 怖さは5種類に分解できる——それぞれに解決策がある
- 「決意してから動く」ではなく「動きながら決意する」が正しい順番
- まず転職サービスに登録して求人を見るだけでいい——転職する必要はない
- 怖さを紙に書き出した瞬間、それは「壁」から「リスト」に変わります
— ミナ



